友人達の結婚式に行ってきた。
「友人達」と複数形なのは友人同士が結婚したからである。
僕の演劇活動のホームである、多摩美術大学から派生した劇団・ロリータ男爵(余談だが普段は別に気にならないけど改めてこうして人前に書いたりすると恥ずかしい劇団名)の俳優&元女優の結婚式。
二人の出逢いは多摩美の演劇部時代からで、いつからか付き合ったり別れたり紆余曲折あって、今回めでたくゴールイン!
実はロリータ男爵には他にも元俳優&元女優、俳優&美術スタッフなど劇団内結婚の夫婦が居る。
趣味や好みや価値観が近い関係なので結婚してももちろんおかしくはないのだが、何だか不思議な感覚になるし、セックスしてるところが想像付かない。(想像しなくていいんだけど。)
劇団内同士でなくても既婚者がかなり増えた。みんなそこそこの歳なのだ。
36℃を超す猛暑の中、平服でいいけど何か黄色い物を身に付けてというドレスコードだったので黄色いスマイルマークがたくさん描かれた90年代風のTシャツにハーフパンツとビーチサンダル(しかも漁業用)という完全に普段着で参加。
それではあまりにカジュアル過ぎるかと思ったので、せめて頭部はおめでたく!と、眉を赤に染め上げ、頭頂には金銀に輝く水引をオン。
ピンと立った水引がまるで角のようで、何だか丑の刻参りや『八つ墓村』の発狂した田治見要蔵のようなスタイルになってしまったが、呪いではなくあくまで祝いだから!
会場はこじんまりとしながらも緑に囲まれたフランス料理店。
受付を済ませ、式の時間までさっそく白ワインなんかを頂きながら親族の方々と軽く会釈などしつつ。
とは言ってもちっとも堅苦しくなく、何だかそれこそヨーロッパの片田舎の小さい教会のようなほのぼのとした雰囲気で。
しばらくの歓談後、いよいよ式!という事で庭へ出る。
しかしここ最近一番の暑さで強い陽射しが周りの景色をハイコントラストに変えジリジリと汗が噴き出す。朦朧と待つ事暫し。
アッシャーとブライズメイドと呼ばれる新郎と新婦それぞれの友人達による介添人の先導と、新郎がよく客演している劇団の女優達によるリコーダーでのウェディングマーチ(マーチというには気の抜ける演奏なのだがリコーダーなので当然。)の演奏のもと、ついに新郎新婦が入場~!
新郎は炎天下にスリーピースの白いタキシードでクっソ暑いだろうな~と思いつつ、新婦はノースリーブの柔らかなエンパイアスタイルのウェディングドレス。
花嫁はいつも美しいものだけど、この日の新婦も今まで見た事ない美しい姿だった。
これまたロリータ男爵の美術スタッフがこの日のために作ったオブジェ(さすが美大卒!)の前で誓いを述べ指環を交換し、そしてキスを交わす二人。照れるよね~見てる方が!舌を入れないキス見たの久しぶり。
一通り宣誓を終えた新郎新婦をリボンとシャボン玉で見送り、あとは室内でフランス料理のコース!この日のために安くはない会費を捻出したのだ。元を取るとばかりに酒を飲みまくり、やれサーモンだマリネだ肉だスープだと貧乏人らしくがっつき舌鼓を打ちながら、でもやっぱりフランス料理って美味しいけど量少ないよね~なんて言ってみたりしながらも、とっても満足。
食事の途中から新郎新婦が再度入場、結婚式で恒例のスピーチやスライド上映などがあったのだが!
そこはさすが演劇人、この日のためにロリータ男爵主宰が台本を書き、仕込み満載の楽しい余興コーナーに。
新郎新婦が自ら司会を務めながら、親戚夫婦にいきなり司会代行を振ったり、「新婚さんいらっしゃい!」を模した茶番にもほどがあるコーナーがあったり、俳優である新郎へのムチャ振りエチュード(※即興演技の事)なんかもあって、ひっでぇ~!とゲラゲラ笑って見てたけど、新婦から両親への手紙や新郎のお父さんのスピーチではすっかり涙。
結婚式というのは独特の魔法がある。
満ち満ちた幸せの中に、ほんの小サジ1杯ほどの切なさ。涙の配分としてこれほどベストなものはないだろう。
そして結婚するという事は親孝行でもあるんだなと思った。
ただでさえ親不孝な僕は自分自身の世話もままならないくらいだから結婚なんて不可能だろうし(したいとも特に思わないけど)、そういう意味で親を安心させたり喜ばせたりする事は出来ないんだな…というプチ劣等感に襲われながらも、目の前の幸せにただただ涙。自分でもこんな泣く人間だったか?と思うほど。
しかしこの余興にはシリアスな面も隠されていて、小劇場の俳優なんて食える人間はほんの一握り、ほとんどの、それこそ90%以上であろう人はバイトをしながら生活と闘い、劇団によってはチケットノルマを課せられ(ロリータ男爵はノルマがないのが僕が関わり続けられる理由でもある)、みんなはっきり言って貧乏臭い。というか貧乏なのである。
役者として売れれば勝ち組、売れなければ負け組という極端さはギャンブルと一緒で何の保証もなく、若さで何とかなっていたものも次第に衰え、社会的軋轢に負けて30才前後で芝居から足を洗う人も非常に多い。
演劇なんてやめる時期が早ければ早いほどきちんと就職出来る率も上がるワケで、シフトの自由を優先してアルバイトでずるずると暮らし30代40代に突入している人は赤の他人から見ても「この人この先どうするんだろう?」と思うだろう。
殊更、親族から見たら尚の事。
新郎が抱えてるこの問題をそこはかとなく匂わせ親族の前で見せる余興の演出は辛辣でもあり、主宰から新郎への成功の願いとそれを支える新婦への叱咤激励でもあった。獅子の子落としとでも言おうか。
でも何はともあれ圧倒的多数の「幸せ」に軍配は上がり、清々しく新郎新婦とご両親達に見送られて会場を後にした。
いやぁ~結婚式って本当にいいものですね!
んで、勝手に二次会って事で居酒屋で飲んだくれて帰宅。
部屋で独りポツンと引出物の箱を開け、中に入ってたバウムクーヘンを黙々と食べながら色々な事に想いを馳せた一日でした。