高校の同窓会のお知らせをもらって嬉々として出掛けた。
クラス替えのない学校なので3年間同じメンツで、それを人に言ったら「特殊学級?」と言われる。失礼しちゃう。デザイン系の高校でした。
なので比較的皆仲が良く集まりやすいとはいえ、こんなダメ人間にも同窓会のお知らせをくれるのだから世の中まだまだ捨てたもんじゃない。
休日の昼下がりに下町の串揚げ屋で。
到着するとさっそく子連れの同級生達。もう来年には中学生という子から愛らしい幼児まで、親は同じ学年なのに子供の年齢は幅があって、当たり前だけどちょっと不思議。
僕は普段皆とそんなに連絡を取り合ったりしていないので近況を全然知らず、いつの間にか結婚していつの間にか子供がいたりする事に驚く事もしばしば。へぇ〜!の連続である。
麗らかな春の陽気の中、各々酒を手に取って乾杯。様々な物を串にブッ刺して揚げたコース料理と共に思い出話に花が咲く。子供同士もすぐ仲良くなって畳の部屋でハシャいだりゲームしたり。
同じクラス内で同級生同士で結婚した夫婦が2組居るので、それぞれの親の顔と子供の顔を見比べては遺伝の驚異に感嘆したり。
皆全然変わらず、でもよく見ると白髪があったり太ったり目尻にシワが出来てたりと、徐々に中年になりつつ。
でも皆本当にシッカリしてて、子育てしたり会社を起したりマイホーム買ったりと着々と社会性を帯びてて慄く。話題も子供の教育についてとか保険についてとか挙がったりして。いい歳してフラフラと夜遊びしては酔っぱらって「オイッス〜!」とか言っていかりや長介じみた奇声を発している自分とは大違いである。
高校時代は成績の差はあれど皆同じようなもんだったのに、この差は歴然。そして愕然。
やっぱりなんだかんだいって、結婚してきちんとした仕事をして子供を育ててというのが人間の幸せの形なのだろう。実際、皆とても幸せそうだった。
それらの何一つとして縁のない自分は一体何なんだろう?と思いつつも、じゃあ皆と同じように子育て出来るかと考えるとまるで自信がないので、これはこれで正解なのだろう。
自分は桜の花にはなれないけど、それを眺める事が出来る幸せ。
皆のほころぶ顔を肴に飲むお酒はとても美味しくて、春風にくすぐられながらホロ酔いで帰りました。