2014/05/15

夜の工事現場

 深夜に道路を散歩していると突如現れる工事現場。
暗闇の中で赤い誘導灯が瞬きだし、様々な重機が動物のように働いて、コールタールが蒸気を上げる。
昼間は何の変哲もなかった道路区域がいっぺんに息づいて活動を始める時。

 それはまるで夜にだけ現れる幻のようで、砂漠に揺らめく蜃気楼みたいでもある。

 もちろん幻なんかではなくちゃんと作業員が働いているんだけど、全体に何とも曖昧な、全てが嘘のような実体感のなさがある。
祭の日の喧騒や屋台の灯り、繁華街のネオンにも通じるノスタルジーがあるからだろうか、僕は夜の工事現場がとても好きだ。

 大体あんなにピカピカしていいのはクリスマスツリーかディズニーランドのエレクトリカルパレードくらいだろう。
それが日常的に見られるのだからワクワクしないはずがない。

 真夜中だというのに煌々とライトアップして騒音と共に道路を掘り起こしては埋め、一体何をやっているのかはよく解らないが興味をそそられるので、本当は歩く足を止めてジックリ見物したいけどあんまりジロジロ見ては働いている人達に失礼だろうからグッとこらえ、せめてゆっくりと眺めながら通り過ぎるようにしている。