2014/06/08

ペ・ヤング

 ペヤングソースやきそばが好きだ。時々発作のように無性に食べたくなってコンビニに駆け込んでしまう。

 カップやきそばの中で異彩を放つ、白く四角い媚びないデザイン。ポップなような垢抜けないようなロゴ。
蓋を開けると麺と具材が素っ気なく並んでいる。
過度な宣伝文句などもなくただひたすらに必要最低限な事項だけを揃えたミニマリズム。

 お湯をかけて待つ事3分。その間もただ静かに佇むペヤング。禅の境地である。
やけどをしないように、それよりも角から麺が漏れ出て「あぁっ!!!もう…」ってならないように注意深く湯切りをする。

 ソースと薬味を混ぜ合わせて頬張ると口の中に広がるケミカルな風味。ジャンクの極みともいえよう、スカスカの、栄養価の低い麺の感触。
こんな物で胃を満たすなんて…という背徳感が更に箸を進める。
細かく刻まれたキャベツの屑に僅かな食感を与えられ、塩分過多なソースに舌が痺れる。

 こうしてレベルの低い満足感を得るのだ。

 しかし中毒というのは恐ろしいもので、それだけでは飽き足らなくなり、もっともっとと脳が指令を出す。

 そこで生まれたのがペヤングソースやきそば超大盛タイプだ。

 通常の2倍の分量に値する、蓋を開けると単純に通常サイズの麺が2つ入っているだけの雑な仕様。
これこそがペヤングの最終形態、人類に対するリーサルウェポンである。

 ただでさえ無駄な食べ物なのに、2倍!
何の苦行だろうか。
しかし哀しき中毒者はそれですらも平らげる。たとえ人工調味料で体がボロボロになっても。
そして膨満感に嗚咽しながら懺悔するのだ。

 年齢を重ねてくると自然とジャンクフードからは遠ざかるものだけど、ペヤング超大盛を食べているうちはまだまだ若いという事か。
この若さもいつまで続くだろうか。