世の中のほとんどの物に興味がない。なぜそれが今流行っているのか、なぜそれをみんな楽しめるのかが解らない。
だから生きていてとてもつまらない。
つまらないからといってそれを打ち壊すほどの反抗も気力も特になく、ただ大きく楽しそうに咲き乱れる流行の徒花を余所にひっそりと息をしているだけ。
みんなが楽しめる物を楽しめないのは自分の頭がおかしいからだろうか?
それとも性格が悪いのか?
世の中の楽しげな物が煩くて仕方がない。
この時代と自分が合わない。
賞賛されるべき物が見向きもされず、クオリティーの低い物やただ模倣なだけの物がもてはやされている、そういう時代。
それが良いとか悪いとかいうより、とにかく共感が出来ない。
この時代を共有して謳歌出来ればきっととても楽しいだろうに。
そんな中でもほんの少しだけ楽しいと思える事もある。ほんの少しだけ。
僕の好きな物は大体謙虚だ。
僕は謙虚な人や物事が好きだ。
薄っぺらい中身なのに要領だけはよく大風呂敷を広げては幅をきかせている物事や、それをただ信奉する人々が嫌いだ。
だけどそれを覆す力もないくせにこうして文句を垂れている自分が何よりも嫌い。
「みんな死んでしまえばいいのに」と思う自分が死ぬのがいちばん手っ取り早いのだから。
だけど死ぬのは怖いから、ほんの少しの楽しい事に目を向けて偏った生き方をしている。
少しでも楽しい事があるのはありがたい事だ。
その僅かな楽しみだけを糧に生きられれば良いけど、そうもいかないのが世知辛い。
先ほども述べたように僕の好きな物事はとても謙虚で不器用だし、こちらがその楽しみを望んでもそれらから僕が好かれるとは限らない。
年を取ると楽しい事も減って行く。
興味を持っていた物も経験するともう興味がなくなってしまったり、本物を知ると偽物が馬鹿馬鹿しくなったり。
そんな中で、しがみつくでもなく寄り添うでもなく曖昧模糊と楽しい事にくっ付いたり離れたりして、ただそれだけで僕の人生は過ぎて行く。
何の向上も成長もなく、確実に少しずつ老いて。
つまらない人生。そうかもしれない。
でも、ちょっとだけ楽しい。