デザインの仕事で文字を入れる時には様々なフォントから相応しい物を選ぶワケだけど、この作業が非常に楽しい。正確に言えば選ぶというよりただフォントの数々を眺めているだけで悦に入れる。
日本語の場合、ひらがな・カタカナ・漢字と文字の種類が多くてフォント作成の難易度が高いため、特に漢字対応の物となると残念ながら数がとても少ない。
そして僕はケチなので無料のフォントしか使わないので尚更。(有料のは高ぇんだよ!しかも金払ってまで欲しいと思える物もない。)
それに比べて英数フォントはどうだろう。使う文字がアルファベット26文字の大文字・小文字と、0~9までの数字、その他の記号のみなので、その分デザインの幅が広がりフォントの数もおびただしい。
フリーフォントのサイトも充実してて、フォントのカテゴリーごとに分別されており(テクノっぽいのとか、コミック風とか、スクリプト系とかそんな感じで。)、そこに並んだ何千というフォントをダ~ッとスクロールして眺めるのが楽しくて楽しくて。
とは言っても全てのフォントを平等に愛しているかと言えばそうでもなく、やっぱり自分好みのフォント、そうでないフォントもあり、その時々の必要性という意味でドンピシャな物もあれば、もう本能的に一目惚れできるフォントもあったり。
ただの文字群に過ぎないのにどうしてこんなに心躍るのだろうか?
ちょっと自分好みの女が居ればすぐ声をかけるチャラ男のごとく、少しでも気に入ったフォントがあればその時に必要でなくてもすぐダウンロードしてしまうという一種の蒐集癖があるので、おかげでPCの中はフォントだらけでとっても幸せなのである。
自分的にはテクノ系のcoolなフォントがいちばんグッと来てしまうんだけど、中にはデザインされ過ぎててメチャクチャ読みづらい物まであって、これではさすがに本末転倒、読めてこそのフォントだと思っているので、カッコイイけどう~ん…な物もしばしば。
なので当たり外れも当然あり、フォント名がそのフォントで書かれているだけのサムネイル画面を見て、お、コレいいんじゃん!?と思って全文字表示の画面を開いてみると、使いたかった一文字だけすごい読みづらかったり、アルファベットの大文字だけで小文字がないとか、数字がなくて使えないとか、何らかの不都合があって泣く泣くページを閉じた事も度々あって、人生とはままならないという事を思い知らされる。
だからフォント選びには思いの外時間がかかり、気付けば一日中フォントにかまけていたなんて事もザラにあり、しかしそれも嫌いではない。
例えば僕は恋人を持たない主義だけど、もうこれは世の中の人達が恋人を作ろうとする時のプロセスと同じなんじゃないだろうか?
ルックスがタイプだからって付き合ってみたら性格やその他に難があった…みたいな。え、違う?
もしかしたら僕はフォントと疑似恋愛に陥ってるのかもしれない。
対人スキルが著しく低く人間と真っ当なお付き合いが出来ないのでついに文字に走ってしまったのか。
それではただの変態だ。
でもそれほどまでに楽しい。
そして今日もPCの前で長時間、目は霞み手は腱鞘炎になっても、理想のフォントを求めてフォント探しの旅に出るのである。
フォント探しの旅は自分探しの旅。そのまま帰って来んな!って感じですね。