2015/09/15

遠雷

 アンドリュー・ワイエスの作品に「遠雷」というタイトルの絵がある。
乾いた草の上にワイエス夫人が寝そべって、傍らには愛犬が遠くの雷の音を聴き付けて顔を上げている。気持ち良さそうに昼寝する夫人と少しだけ不穏な灰色の空が、写真と見間違えるほどの緻密なタッチで描かれている。

 とても長閑なこの絵が好きだけど、実際に遠雷の日は僕はとてつもなく具合が悪い。
なぜなら低気圧に弱いから。
不思議なもので、天気の悪い日に体調が芳しくない人間と全くピンピンしてる人間とがいる。
この違いは何かというと平衡感覚を司る三半規管の強さだそうだ。
三半規管の弱い人間は気圧が低いだけで目眩がして体が重くなるのでとっても不利。

 同じ理由から乗り物酔いも酷いし回転にも弱くてすぐ吐き気。
車に乗ってはオェ~。ポールダンスしてみたらオェ~。
いいとこ無しである。

 なので遠くで何となく雷が鳴ってるような日はまるで巨人の足に踏み付けられているように抗えない感覚があって、ぐったりと横たえる。ワイエスの爽やかな絵とは大違いだ。
でも天気は自分の努力では変えられないので仕方ない。

 変えられるのは自分自身。三半規管を鍛えればいいのだ。
そこで三半規管の鍛え方を調べてみると…

 「ひたすらぐるぐる回転する」

 って、それが出来ないから困ってんじゃん!!!