2016/05/25

 「女三人寄れば姦(かしま)しい」とはよく言ったもので、女性というお喋りな生き物が三人も集まれば話も弾んでとにかくうるさいものである。

 が、しかしこのうるささが同時に華やかさでもあり、芸能でも女性三人のグループというのは昔からけっこうあって、僕が真っ先に思い浮かべるのはロネッツやスプリームスなどのモータウン系黒人女性グループだ。
リードボーカル1人とコーラス2人という格差はあっても(スプリームスなんかはダイアナ・ロスが抜きん出過ぎていて三人というバランスが崩れてしまうのだが)、同じような衣装とヘアメイクで並んで歌う姿は"三人娘"の元祖であろう。
これに筒美京平作曲の日本語曲「にがい涙」でもお馴染みのスリー・ディグリーズや、モータウンブームに乗って似たようなサウンドにソフトロックの要素も入ったUKグループのフラーテイションズ、アース・ウィンド&ファイアーの妹分であるエモーションズや、アイク&ティナ・ターナーのバックコーラスグループのアイケッツなど挙げればキリがないほどの三人グループが続き、後のTLCやデスティニーズ・チャイルド(最初は四人だったが三人で定着、そしてやはりビヨンセだけ抜きん出ていたので解散に。)などのガールズグループの発展の基盤となったのであろう。

 黒人に限らず女性三人のグループというのは時代を問わず本当に多く、80年代に一世風靡したバナナラマや、エレクトロクラッシュ界でもラリー・ティーのプロデュースによるW.I.T.(Whatever It Takes)などの徒花も含めれば星の数ほど。
日本だってキャンディーズからPerfumeまで(そしてスターボーなんかも)、特にアイドルグループに多いようだ。

 音楽シーン以外でも、映画『チャーリーズ・エンジェル』のヒットや、吉永小百合・和泉雅子・松原智恵子の日活三人娘、果ては岸田今日子・吉行和子・冨士眞奈美のトリオ珍道中や、女三人湯けむり殺人事件までバリエーションに事欠かない。

 女三人というのは男のそれと比べてやはり賑やかだし、雛人形にも三人官女というのがあるくらいだから何か特別な意味を持つ組み合わせなのかもしれない。
実際の女性三人のグループというのはどうやら一人が仲間外れにされやすいという傾向もあるようだが、そういうのも含めてドラマを作りやすいのかもだし、二人なら対比になるけど三人だと選ぶ楽しさが出るというのも大きいだろう。「どっちがタイプ?」より「どれがタイプ?」の方が幅が出るというものだ。(その選ぶ楽しさを更に拡げたのが秋元康プロデュースのおニャン子クラブやAKB48なのだろう。)

 と、今ファミレスで目の前に居座って喋りまくる三人のうるさいババアを見てどうにか良い方向へ思考を導こうと思ったけど…無理。うるせぇんだよババアども!!!